育児中に感じた、考古学の効き目について(その2)。

長男は、小学一年生の時、一時期不登校になりました。

彼がどんな気持ちでその時期を過ごしたのか、それは彼にしかわからないことですので割愛します。

一方、私のことを書きますと、この一件でとても大きな心の変化を経験することになりました。

というのは、育ってきた環境による価値観、そして現代の社会通念に絡め取られている自分にハッと気が付いたからです。長男を産んでからの私は、思い通りにならない苛立ちから、視野が狭まり、にっちもさっちもいかなくなっていました。思い込みによってガチガチに固まった心は、柔軟性を欠き、自分だけでなく関わる周りの人をも巻き込んで苦しみを生むことになります。「〇〇すべき」という思考に囚われた私は、まだ幼い長男に対して個人的な偏見を押し付けてしまっていました。「子どもは毎日学校に行くべき」、「親の言うことを聞くべき」、「小学生になったら自分のことは自分でするべき」……そんな固定観念を強制し、長男を縛っていたのです。

私は、大学・大学院と考古学を専攻し、時代や地域によって多様なものの見方(例えば社会通念や価値観など)があるということそのものが、異文化交流を研究する重要なファクターの一つであること、正しさは依って立つ背景によって変わるということを学んでいました。であるのに、自分の生活には全く活かせていなかったのです。このことに気付いた時の衝撃は、言葉で表現できるものではありません。私は何をやっていたんだろう、どういう未来を望んでいたんだろう、どうすればこの思い込みから抜け出せるのだろう。自分の考え方の癖について、自問する日々が続きました。この後、最終的に思い至ったのが、考古学の研究方法・考え方を今の暮らしに活かすことができれば、心の可動域を広げ、生きづらさを解消する助けになるのではないかということだったのです。

そう考えるようになってからは、子どもたちへの接し方が変わりました。家庭の雰囲気も柔らかいものになりました。そして、家族全員で平和を希求するという目標が生まれたのです。

この経験から、私は、考古学の研究方法を知ることは、ものの見方や考え方の選択肢を増やし、気持ちを緩ませる可能性があると思うようになりました。心の縛りを解き、多様性を受け入れ、誰もが幸せをめざせる社会にしたい。そのために、次の世代への継承も含めて、考古学に関わり続けようと決心したのです。

この場を借りて、宣言します。

私は、これからも歴史意匠のデザインや発掘調査に関わるグッズ製作などを通して、考古学の考え方を現代に活かす方法を模索し、表現していきます。

今日のお話は、育児中に感じた、考古学の効き目について(その2)でした。

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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