人はそれぞれ違ったフィルターを通して世の中を見ている。

三男(当時小4)が「オレ、運動会キライや。なんでみんな運動会好きなん?」と言いだしました。今日は一日、予行演習なのです。

色相環を表した模式図(製作:金田)
対角線にくる色(補色)を重ねると黒になる。

私「運動会、好きな人と嫌いな人がいるだろうね。みんなが好きなわけじゃないよ。あなたみたいに、嫌いだって思ってる人、ほかにもいるよ」
次男「オレわりと好き」
三男「なんで」
私「好きでもいいし、好きじゃなくてもいいし、どっちでもいいよ」
三男「なんで」
私「……そうだなあ、じゃあ、例えば……三男は、何色が好き?私はねぇ、青が好き。」
三男「じゃあオレは赤。」
私「よっしゃ。んじゃあね、それ、メガネのレンズだと思ってみて?」
三男「うん」
私「人はね、ひとりひとり好きなものが違うの。それはさ、生まれてきた時にすでにもってるものもあるし、経験することで変わったりもするし、例えば男の子か女の子かとか、住んでる国とか、そういうのによっても違いがあるよね?」
三男「そだね」
私「じゃあさ、その三男の赤いメガネで、この白い襖を見たら何色?」
三男「赤」
私「え~w私は青に見えるんだけど!絶対赤じゃない」
三男「かあちゃんは青のメガネだからやろ!w」
私「そそ、そういうこと。三男のメガネで見たら赤。私のメガネで見たら青。でも、ほんとの襖の色は?」
三男「白……か……」
私「だからね、自分と意見が合わない人がいたとする。その子は運動会を大好きだという。三男のメガネで運動会を見たら「嫌い!」なのに、なんでその子は「大好き!」って言うんだろう?って、その答えは」
三男「メガネの色が違うから……?」
私「イエス、イエ~ス。今、襖の色が白だったから、赤とか青とかそれぞれきれいな色だったけどね、」
三男「うん」
私「ふすまの色を、そうだなあ、緑だと思ってみて」
三男「緑」
私「緑色、どう?キレイ?」
三男「きれい。わりと好き」
私「じゃあね、三男は赤いメガネでその緑を見てみ?何色かわかるかなぁ」
三男「え……あ……それ、絵の具でやったことある。真っ黒になった。なんかめっちゃ汚い色になった」
私「いい経験してんじゃん!そうだよ、黒に見えるんだよ」
三男「……」
私「ほんじゃね、私は青いメガネでした。青いメガネで緑を見ると、きれいな深い青緑色に見えます」
三男「……」
私「じゃあ逆の場合。青いメガネの私が見て、真っ黒になるのはオレンジ色」
三男「え~オレンジィ?いい色なのに!」
私「だよね。暖かくて、元気で、栄養も豊富そうなオレンジ。けど、青いメガネだと、真っ黒に見えるんだよ」
三男「嫌や。ほんとはきれいなのに、キレイに見えへんの」
私「三男の赤いメガネでオレンジを見たら、そうだなぁ、トマトみたいな元気な赤に見えるかな」
三男「ホッ」
私「ホッとしたかあ(笑)あのね、だからね、自分が持ってるメガネでは、ほんとはきれいなのに真っ黒に見えてしまうことがあるんだって覚えておくことが大切」
三男「そうだね」
私「三男もゲームするとき、よく次男につっかかってるじゃん。“なんでお前そんなことすんだよ!無駄じゃねえか!”って。それはさ、あなたのメガネを通すと真っ黒に見えちゃってる色をさ、次男のメガネではきれいな色だなって感じて進んでるってことなわけ」
三男「へえ~」
私「黒いって決めつけることは、残念だよね」
三男「うん」
私「自分に見えない色を、見てくれる人が必ずいるの。だから、いろんな色の友達と一緒にいたら、自分には真っ暗に思える道も、ちゃんと道案内してくれる。あなたも、あなたとは違う色のメガネをかけている友達が“真っ暗だ!怖いよう”って泣いているとき、大丈夫だよって手を引いてあげられる。だから、みんな違うメガネをかけていることは、すごく幸せ。世の中、三男と同じ赤色のメガネをかけてる人ばかりだったらどう?」
三男「嫌や!」
私「そゆこと。でも、私も今三男に話しながら逆にはっきり気付かせてもらったわ。いろんな色を知りたいね。あなたのメガネはどんなメガネ?って興味出てきたわ。ありがと!」

子どもは、絵の具を塗り重ねるとき、
きれいな色をいっぱい集めて一緒にしたら、もっときれいに、とびきり美しい色になるに違いないと信じているのかもしれません。

いろんな色が集まってできた真っ黒は、実はとても美しいんだな。

そんなことを思いました。

この一件、考古学とどんな繋がりがあるかというと、

人は時代や地域や性別、個々の価値観などによって思考の制限を受けており、それを元にしたフィルターで世の中を見ているということが、人間の行動を考える上での前提となるからです。

このことは、現代を生きる私たちも例外ではないのです。

フィルターは、完全に外すことはできません。でも、その一部をかけ替えることはできます。

歴史を知ることは、どんなフィルターを選ぶのか、その選択肢を広げてくれます。

意識的に選んだフィルターを通して透かして世の中を見る。

アーケオスケール(透けーる)が伝えたいことの一つです。

長文を読んでくださり本当にありがとうございました。

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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