旅と歴史のライターとして思うこと

古代の人たちの暮らしぶりに思いを馳せるのは楽しいことですが、とりわけ私の興味をひくのは、地理的条件とうまく付き合いながら生き抜いてきた人々です。

高校生の頃、考古学に興味を持ち始めた私は、「なんで縄文時代には大きな集落が営まれていた場所なのに、弥生時代になったら住まなくなっちゃうんだろう? 人気がなくなったのかな? 他にいい場所が見つかったのかな?」と漠然とした疑問を持っていました。それが、気候変化によりそばを流れていた川の流路が変わったために人が住まなくなったり、水田作りに適した場所を求めて低地に居住地を移したりすることを知り、現代人が利便性を重視して住むところを決めるのとまったく一緒じゃん! と思い、目からウロコが落ちました。

何千年も前に生きていた人でも、生活のためにより住みやすい場所へと移って行ったり、地理的条件を利用して特産品を作り出し交易に役立てたりすることは至極当たり前のこと。そうして考えたらグッと古代が身近に感じられ、隣人のような感覚が芽生えました。「いつだって考古学!」な生活が始まった瞬間でした。

現代においても、その土地ごとの気候や地質などを上手に活用して、農作物を育てたり物を作ったりして生活を営んでおり、それが名産品や工芸品として地域の特色を織りなしています。各地の遺跡をめぐることは、その土地の最初の住人の暮らしぶりを知ることであり、そこを起点に土地の歴史や風土を学び、古来より今に伝わる文物や味覚を知る旅を楽しんできました。そのおもしろさをより多くの人に知ってもらいたいと思い、「旅と歴史のライター」を生業として活動してきました。

特に子供を持つ身となった今では、これから歴史を学ぶ子供たちに「ここの場所はこういう地形で、こういう地質で、だから昔からこんな工夫をして人が暮らしてきたんだなぁ」というような合点の行き方を示せたらと思っています。

鹿児島県霧島市にある上野原遺跡。シラス台地をキーワードに古代から現代までを旅することができる、ステキな場所でした。

「日本を、そして地域をより深く知るための方法としても、考古学は役立つことを伝えたい」それが私のアーケオスケールの目的のひとつでもあります。遺跡のある地域の昔も今も、丸ごと楽しめるような情報提供をしていきたいと思います。今まではベースを旅行業界において活動をしてきましたが、アーケオスケールを立ち上げたことによって、歴史をベースに展開していくことをすすめていけたらと考えています。

せっかく遺跡を訪ねたら、その土地ならではの味覚や工芸品などにも親しんで欲しいので、そうした情報も加えていきたいと思います。遺跡だけではファミリー層に訴求できなくても、グルメや体験情報をプラスすれば家族みんなで楽しめるようになったり、建物や器にこだわった宿を加えることで、大人の知的旅に仕立てたり、遺跡を見にいくだけが目的だと腰をあげなかった人たちを巻き込めるプラン作りを提案していけたら、歴史を身近に感じてくれる人がもっともっと増えるんじゃないかなと期待しています。

古代からのメッセージがいたるところに秘められたツアーなんて、絶対楽しいですよね。実現できるよう精進していきたいと思います。あれ? アーケオスケールは旅行業もやるのか!? !?(方向、違…)

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多田みのり
旅と歴史のライター、奈良市観光大使 大学・大学院で考古学、歴史地理学を学び、一般企業に就職。その後、一般の方にわかりやすく考古学の成果を紹介することで、自由に歴史を語り、想像する人が増えてほしいとの思いから、歴史ライターに転職。雑誌やウェブでの取材、執筆、編集のほか、小中学校でのワークショップや講演などを行なう。

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