遺跡に行って考古学vol.5 野尻湖ナウマンゾウ発掘地

野尻湖。それは、私の憧れの地でもありました。湖底からはナウマンゾウの化石が出土し、1962年から有志での発掘調査続けられている地です。長野県上水内郡信濃町野尻にあります。

事の発端は、1948年、湖畔にある小松屋ホテルのご主人、加藤松之助さんが湯たんぽのような形をした石のようなもの(それがのちにナウマンゾウの臼歯だということがわかりました)を発見されたことでした。

私は、野尻湖ナウマンゾウ博物館に車を停め、まずナウマンゾウの化石発掘地へ急ぎました。博物館から化石発掘地までは、徒歩で5分ほどです。

いよいよ野尻湖と対面!目の前に広がる湖に、様々な想いを映しました。ここが、藤森先生が『古道』で詩情豊かに執筆されていた野尻湖ーーーとうとう来たーーー!!

私は、立ヶ鼻のゾウの化石の埋まり方に、かなりいくつかの不審を感じた。列記すると、
1 かなり限られた範囲からで、浅瀬に集まっている。
2 骨はあまり散っていない
3 特に肋骨や椎骨など胴体の骨はわりにまとまっているが、四肢骨などは、その限りでない
4 歯と骨が多いのに牙がない
5 杉久保人は、剥片やナイフを持っていたが、棍棒くらいしか武器らしいものはみあたらない

以上のような疑問を、私なりに組み立てれば、立ヶ鼻は、浅瀬状の湖の入江で、ゾウの墓場であった。杉久保人は、一年に何頭か、老衰か、負傷か、死地にかえってくるゾウを、杉久保の高台の上でみはっていた。その男が喚声をあげれば、もう、武器はいらない。時間さえまてば、剥片とナイフで十分である。後は、食えるだけ胴体を食い、持てるだけの肉や四肢と、象牙を持って、杉久保へかえって、また次の葬式を待つだけである。

藤森栄一 1966「1 灰の中のオアシス」『古道』PP8-22

追記:現在は「月と星」と呼ばれる、ナウマンゾウの牙とオオツノジカの角が発見されています(1973年・第5次発掘調査)。その二つは寄り添うように並んで発見されたとか。今では「月と星」が野尻湖発掘の象徴的な遺物となっているようです。

野尻湖ナウマンゾウ博物館への道すがら、ナウマンゾウデザインの看板やマンホールを見つけてこれまた楽しく歩きました。

さて、博物館へ到着です。

野尻湖ナウマンゾウ博物館は、50年続く発掘調査の成果を展示・保存・研究する目的で作られたそうです。

出土した遺物だけでなく、その当時の自然環境(ナウマンゾウがいた時代はおよそ4万年前。当時は氷河時代です)も考えられるようになっています。

階段を上るとまず迎えてくれるのが

発掘調査の歴史・内容を解説してくれるパネルです。

そして、これまで発掘に参加した有志の皆さんのお名前も展示してありました。2018年までの調査で、のべ22,100名が参加されたそうです。Twitterでhkmtさん@hkmt_sfiaに教えていただいたのですが、また来年、2020年に発掘調査があるそうです。関西地区にも友の会があるとのこと。調べてみると、野尻湖発掘友の会って全国にあるんですね!それだけ多くの方が関わり、注目をしている遺跡なんだなと改めて感じました。

展示室に入る前に、野尻湖発掘調査の歴史が14分でわかる映像展示があります。そこで臼歯発見から発掘調査への流れ・内容がわかります。我が家の保育園児もじいっと画面を見つめていました。

そして展示室へ!

ババーン!

実物大のナウマンゾウの模型が迎えてくれます。このほか、オオツノジカの模型もありましたが、ちょっと怖いくらいに大きいですね。私は奈良市に住んでいるので鹿に出会うのは日常ですが、同じ鹿なのかと驚くほどオオツノジカは巨大です。

展示は4つのテーマに分かれており、ナウマンゾウと野尻湖人について・野尻湖9万年の歴史・楽しい野尻湖発掘・体験コーナーと、盛りだくさんでした。

階下に降りると、ミュージアムショップとハンズオンコーナーがあります。我が家の中学生と小学生はかぶりつきでナウマンゾウの骨を組み立てる体験を楽しんでいました。このほかにも、野尻湖人になって写真が撮れるよ!という衣装着用コーナーなどもあり、大いに遊ばせていただきました。

2020年の発掘調査、10日間の泊まり込みだそうですが、本当に魅力的です。なんとか参加できないものかな・・・と思いながら野尻湖を後にしました。

皆さんも是非、野尻湖で氷河時代の様子に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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