正倉院展の魅力。

御即位記念、第71回正倉院展が11月14日まで奈良国立博物館で行われていました。

もちろん今年も観覧しに行ったのですが、やはり伝世品も出土品も、実物を見る機会を持つのは大事だなと思います。というのも、ポスターや図録などで見ているだけでは、わからないことがあるからです。ものの細部まで見るには拡大したもの、全体像を見るには縮小したものが役に立ちますが、縮尺が書いてあっても、わからないこと。その一つは、大きさの体感です。

「漆胡樽(しっこそん)」第71回「正倉院展」目録より

今回も、イメージとのギャップに驚かされた宝物がいくつかありました。中でも、特別に驚いたのが「漆胡樽(しっこそん)」です。革袋形の水入れで、長さは92センチ。1メートル近くもある水入れ、しかもそれが二個並んで置いてあるというのは、ちょっと口元が緩んでしまうくらい想像を超えた存在感でした。

一方、内容の方で一番印象に残ったのは、『大乗大集地蔵十輪経(だいぞうだいじゅうじぞうじゅうりんきょう)』です。

『大乗大集地蔵十輪経』第71回「正倉院展」目録より

『大乗大集地蔵十輪経』は、釈迦が地蔵菩薩のために、成仏と衆生救済の方法を説く内容の経典で、十巻からなる。唐の玄奘(602?~664)が漢訳した。本品は、巻第一から巻第五までが一巻に収められており、巻頭には聖教序が書写されている。聖教序とは、大規模な経典漢訳事業を主導した玄奘の功績を讃えて、唐の皇帝・太宗(598~649、在位626~649)が作成した文章で、玄奘の新訳経典の冒頭に序文として記された。本品の巻第一の巻末部分には、『大乗大集地蔵十輪経』の翻訳事業に関わった僧侶の名前が、その役割とともに記されている(訳場列位)。

奈良国立博物館編 2019 『第71回「正倉院展」目録』一般社団法人仏教美術協会 P110

つまり簡単にいうと、漢訳した玄奘の功績を序文で讃え、次にお経が書かれ、最後に special thanks to 翻訳した僧侶たちー!と謝辞が述べられているということ。

そういう気持ちの込め方、感謝の表明の仕方。今でも変わってないなあ~と思い、和みました。

そんな正倉院展も終わって、訪れる人の多さもひと段落したかな?という奈良。次回の第72回正倉院展も、この季節に開催されることでしょう。来年のことを言うと鬼が笑うと言いますが、ぜひ正倉院展に絡めて奈良旅行を計画してみてくださいね。

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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