塵芥は宝の山

昨日で会期終了となった東京国立博物館の「正倉院の世界ー皇室がまもり伝えた美ー」に、最終日滑り込みで行ってきました。

最終日は20分待ちでした。みなさんお目当の宝物への想いを口にして並んでいました

天皇陛下の御即位を記念し、正倉院宝物と法隆寺献納宝物が一堂に会するということもあり、展示品はスター級のものばかりで、多くの方で賑わっていました。

琥珀と螺鈿の宝相華が咲き乱れる「平螺鈿背八角鏡」、蘭奢待の名で知られる天下の名香「黄熟香」、タイマイと螺鈿の華麗な装飾が見事な「螺鈿紫檀五弦琵琶」、聖武天皇ご愛用の優美なフォルムの「漆胡瓶」などなど、それはもう豪華絢爛。
ママに抱っこされた2、3歳の男の子ですら、「きれいだね〜光ってるねぇ〜」とうっとりしていたので、本物の放つ力は年齢など関係なく見る者を魅了するのでしょう。
画像がご用意できないのが残念ですが、アケスケブログをご覧の皆様なら、脳内にモノが再生されている方も多いはず。

その中で、私が最も感動した展示品が「塵芥」です。宝物の中にはすでに崩れてバラバラになり、小さな破片となってしまったものもあるわけですが、そうしたものも唐櫃に収め「塵芥」という名の宝物として大切に保管されています。
それを職員がピンセットで、布、金属、木片など素材ごとにひとつひとつ選り分けているのですが、なんとその作業は100年以上続けられているのだそう。
そうした中から、他の宝物の失われてしまったと思われていたパーツが見つかることもあるといい、「塵芥」はまさに宝の山。正倉院の中には「ちり」など無いのだなぁとしみじみ思いました。

神奈川県中屋敷遺跡発掘調査における土壌サンプルのフローテーションの様子。
こうして炭化物を選り分けていきます(昭和女子大学文学部歴史文化学科)

考古学でも、現場から採取した土器、木片、土壌を洗うことで、古代人が書いた文字や絵を発見したり、炭化物を取り出して植生復元に役立てたりしています。どんなものでも精査して、いにしえびとの生活の証を見逃さないことは、歴史を研究する上で大切なことだと改めて思った次第です。

「塵芥」選別、ちょっとやってみたいです。

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多田みのり
旅と歴史のライター、奈良市観光大使 大学・大学院で考古学、歴史地理学を学び、一般企業に就職。その後、一般の方にわかりやすく考古学の成果を紹介することで、自由に歴史を語り、想像する人が増えてほしいとの思いから、歴史ライターに転職。雑誌やウェブでの取材、執筆、編集のほか、小中学校でのワークショップや講演などを行なう。

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