把手はどこへ

現在は、飲み物(特に熱いもの)を飲む時には、お湯飲みのような把手がつかない器と、マグカップやティーカップなど把手がついた器の両方を使います。

今日は、把手がついた器の話をしましょう。

把手がついた器は、いつ頃から使われ始めたと思いますか?
実は、
古 墳 時 代 の 須 恵 器 に あ る ん で す 。
朝鮮半島陶質土器の影響を受けて、須恵器生産が開始されたのは4世紀末から5世紀初頭です。

意外と古いですか?それとも、新しく感じましたか?
印象はそれぞれだと思いますが、把手がついた器のことを把手付椀(本当は土偏ですが変換できず、仮に木偏で書きます)と呼んでいます。
どんなフォルムかというと、


じゃん!

石野博信・岩崎卓也・河上邦彦・白石太一郎 編 1991『古墳時代の研究6 須恵器と土師器』雄山閣 より 福岡県古寺墳墓群出土 右二つが把手付椀(一例)

今のマグカップとそう変わらないですよね。

ところがこの把手付椀、不思議なことに古墳時代中期末以降には、国内でその生産が途絶えてしまいます。

のち一定期間を経て、再び飛鳥時代になって別系譜で生産が開始されます。そのことについて研究されている論文はこちら。
小池寛 2016「飛鳥時代における朝鮮半島系土器の生産とその背景」『京都府埋蔵文化財論集 第7集』pp.76-86

そして平城宮跡の時代(8世紀)には、またまた把手付椀は使われなくなってしまいました。その後、長い年月が経過し、西洋から把手付きのカップが伝わってくるまで、日本では把手付きの器が定着しませんでした。

毎日マグカップを使っている身からすると、把手付きの器は便利ですし、もうなくてはならない身近な食器となっていると思うのですが、なぜ日本では日常食器として作られ続けることがなかったのでしょうね。

現在日本で使われている把手付きのカップは、意外と歴史が浅いのですね。

把手がなくなった時代……いやむしろ、古墳時代や飛鳥時代に把手があったことが特別なのか……いや……その背景、意味とは。
デザイン面からも気になる把手付きの器。今後調べてみたいと思っている、興味深いテーマです。

*****************追記********************

ジョッキ形の土器や木製品は、弥生時代中期からあるということを、木製品を中心に研究を進められている樋上昇さんに教えていただきました。追記してお礼申し上げます。

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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