突撃!となりの研究者Vol.1島田守さん(その1)

企画したグッズと、島田守さん

大阪市にある製版会社「株式会社中央プロセス」にお勤めの島田守さんは、学生時代から実験考古学・海外での発掘調査に携わり、古代ガラスの研究を続けています。日本ガラス工芸学会に所属しつつ、学会発行のニューズレターの編集にも関わり論文を発表するなど精力的に研究を進めながら、一方で歴史意匠に関するグッズの商品開発・プロデュースをされているされている島田さん。その経歴の面白さに惹かれ、どのような経緯で考古学と出会い、現在のお仕事に就かれたのか、また、考古学や歴史に対して抱いている想いについて伺いました。

考古学に興味を持ったきっかけは

――島田さんは、どんなタイミングで考古学に出会われたのでしょうか

島田さん「小学生の高学年くらいから、研究職に就きたいという漠然とした夢を持っていました。小学校の頃は、初代環境委員長をやっていて、環境問題について興味があり、環境に役立つような仕事をしたいという思いがありました。
中学校の技術・家庭の授業で、車のエンジンについて考える時間があり、自分の好きな車を考えて書けという宿題があって、ちょうどその頃、酸素と水素を反応させたら水とエネルギーが生まれるということが新聞に載っていて、それを利用したら車を走らせることができるのではと考えてイメージ図を描いたりしていましたね。簡単なものでしたけどね」

――実際にそんな車が発明されましたよね

島田さん「そうなんですよ。先見の明があったんじゃないかなんて思いましたね(笑)その後に高校でとても面白い授業をされる世界史の先生に出会いまして、歴史に興味を持ちました。特に、名前や文字資料の出てこない時期のことについて、モノだけで推測していく面白さを知りましたね。あまり証拠がないのに、これだけのことを組み立てられるのかという驚きがありました。
極め付けが、テレビで見た南米の考古学者、島田泉さんのドキュメンタリー番組でした。シカン文明の研究をされているんですけれども、考古学が、掘るだけのイメージから自分の中でがらっと変わった瞬間でした。答えがわからないものに対して考えること自体が面白いけれども、それに向けて適当にイメージしてしゃべるのではなくて、ちゃんと順序立てて証拠を積み重ねていくんだということが科学的で興味深いと感じました」

奈良大学で考古学を専攻

その後、島田さんは奈良大学の文化財学科、保存科学コースに進学され、西山要一先生の元で学ばれます。

――奈良大学で保存科学を専攻された理由は何でしょうか?

島田さん「発掘調査で出てきたものをいろんな視点で調べられるということと、全国的に珍しい分野だったからです」

――保存科学にもいろいろな研究対象があると思いますが、中でもガラスを選ばれたわけは何でしょうか?

島田さん「いろいろな理由がありますが、他の人がやっていないことに挑戦したいという気持ちが大きかったです。その頃、古代ガラスの歴史について書かれた本はいくつもありましたが、保存・修復について書かれたものが国内になかったんですね。先生に相談すると、英語で書かれた分厚い書籍を渡されました」

自分で納得したことや興味のあることはどんどん調べたいという欲求を持っていらっしゃる島田さん、洋書の翻訳を進めながら、ガラスを保存・修復するためには、全体のどの部分なのかがわかるようになっておく必要があると考え、ガラス製作の工程を自分で習得しようと、実際にガラス作家さんの教室に通い始めます。

島田さん「ちょうど自宅から自転車で行ける範囲のところで吹きガラスのカルチャーセンターが開講して、応募したんです。そしたら、倍率が高すぎて落選しました。でも、キャンセルが出たからと繰り上げ当選の連絡が来て、木曜日の午前中、京都に工房をお持ちの作家さんに教えていただくことになりました」

――それは幸運でしたね。

島田さん「そうなんです。学びたいと思った時に学べる状況になっているという、本当にラッキーな運びでした。
研究のために吹きガラスの技術を学びたいという理由を、作家さんがとても面白がって、自分の工房に来たらどうかと誘って下さって、カルチャーセンターを初級で止めてその工房に通うことにしました。
工房では、古代ガラスの作り方の復元製作も行うようになりました。作家さんに作っていただきながら「昔はこの道具はなかったんです。なかったとしたらどう作りますか?」というやりとりをしながら進めたりもしました。初めは自分が作家さんのアシスタントをしていましたが、だんだん交代して製作するようになりました。
その頃、日本各地の博物館を訪ね、ガラスの写真を撮らせていただいたりもしていました」

――卒業論文はどのようなものを書かれたんですか?

古代ガラスの復元製作過程を写真に納めたアルバムを見せていただきました

島田さん「とある美術館にある古代ガラスの中から、せっかくだから現代にはない形のものを復元製作してみようと思い、実験を行いました。結果、従来言われてきた作り方ではそのガラスの特徴が消えてしまうということを突き止め、新しい作り方の提案を行いました。それと、洋書の翻訳が卒業論文です」

――卒業後はどのようなことをなさっていましたか?

島田さん「同じような研究をされている方がいらっしゃらないかと思って、古代ガラスのこんな研究をしていますと、ガラスを扱っている日本の各地の博物館・美術館に電話してみました。すると、自分で実験しながらガラスについて研究しているという方はいらっしゃらなくて、みなさん驚かれるんですね。そこでたくさんの学芸員や研究者の方と繋がれました。そのような流れの中で、「ガラスに関する展示を行うので、展示品を復元してほしい」という依頼をいただくようになりました」

(その2に続きます)

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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