突撃!となりの研究者Vol.1島田守さん(その2)

海外での発掘調査に参加、各地のガラス工房を巡る

はっきりとした研究対象を見つけられていなかったため、大学院には進学せず聴講生として大学に残ったという島田さん。ちょうど奈良大学にレバノンから発掘調査の要請があったことから、泉拓良先生と一緒にローマ帝国の遺跡の発掘調査に参加します。地中海東沿岸部は吹きガラス発祥の地として重要なエリアなのだとか。

島田さん「本当に、ラッキーというか、学びたいと思っていたところに行くことができて嬉しかったですね。1年目に発掘調査ではガラスは出土しませんでしたが、現地の博物館を巡り、たくさんの魅力的な遺物と出会いました。
2年目には、西山先生も関わってこられるんですけど、地下墓の調査に携わりました。その前段階の調査で、泉先生から「島田くん、出たよ!」と。「えっ!出たんですか!」と言って。それは一輪挿しのようなガラスだったんですけど、割れ口がまだ新しくキラキラしていたので、これはさらに上が残っているのでは?と発掘を進めると、実際に出てきました。
博物館にあったものではない古代ガラスに触れたのはこの時が初めてで、自分はこれを調査しよう!こいつを突き止めよう!と心に決めて大学院へ進学することにしました」

大学院へ進学、ガラスの製作環境などに迫る

――大学院でも発掘調査に参加されたそうですね。

島田さん「大学院に入ってからも、レバノンでの発掘に参加しました。調査中に2週間休みをもらって、シリアへ向かいました」

――シリアに向かわれたわけは?

島田さん「日本では、吹きガラスを作るのは2人体制なんです。でも、ローマ時代の粘土製ランプに彫られた絵を見ると、1人で吹いているんです。なので、1人で吹いているところを見てみたいとずっと思っていました。でもそれは日本では見られないんですよ。2人体制が当たり前になっているから。じゃあ世界ではどうなんだろう、と思って、発掘3年目に泉先生に相談してレバノンの工房に行ってみたんですね。みんなでバスをチャーターして。でも真夏で、暑すぎて工房やってなくって。写真は撮りましたけども、ああ、レバノンでは無理だな、じゃあシリア行こうって思って。ダマスカスで現地を案内してくれる方と合流し、ガラス工房を訪ねてみると、1人で吹きガラス製作されてたんですよ!感動しました!!うわーっと思って。これが見たかった!と思って。
動画を撮って記録に残しました。研究テーマの一つである、ガラス工房の昔の環境についても触れることができました」

ダマスカスの吹きガラス工房の様子

――1人で吹きガラスをされている工房は他にもあったのですか?

島田さん「シリアだけかもしれないと思ったので、発掘調査4年目にはエジプトの工房を訪ねました。
そしたらやはり1人で吹きガラスをされていて。まあ、今のところ自分が訪ねたのは2例だけなんで事例が少ないんですけどね、日本でその動画を見せると、プロの作家さんでも驚かれるんですよ」

エジプトの吹きガラス工房の様子

――修士論文は何をテーマにされたんですか

島田さん「レバノンで出たガラスを復元製作して修士論文を書きました」

――修士を卒業されてからは

島田さん「やっぱり知りたいことを突き詰めたくて、自分でやっていく道を選びました。フリーターに戻って、ガラスを知らない人たちにもその面白さをなんとか伝えたい!と思って、復元したガラスをクラフトフェアで販売したり、研究発表したり論文を書いたり、同じような生活を続けていました」

(その3に続きます)

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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