突撃!となりの研究者Vol.1島田守さん(その3)

納得するまでとことん追いかける島田さん

――ガラスを作る環境について、他にも気になる点があったそうですね?

島田さん「日本ではガラス玉をつくる時はガスバーナーでガラスを溶かすんです。でも、古代は薪を使っていたのではないかと。本当にそうなのかな?と調べていた中で出てきたのがトルコのイズミルというところにある工房の写真でした。でも、伝統的なところほど情報発信をされないのでなかなか全容がつかめなくて。その写真を1枚持って、トルコに飛びました」

――写真1枚持ってトルコに!

島田さん「そうです(笑)。タクシーの運転手さんに「ここ、知ってます?」と聞いたら「おお、知ってるよ!」と。それで連れて行ってもらったんですが、そこはバーナーを使った全然違う工房で。現代ガラスの作家さんのところだったんですね。まあ、そうなるよね~と思いながら、作家さんに例の写真を見せたところ、「知ってる工房だよ!電話してあげる!」と。ちょうど薪で火入れをするところだからと、工房を見せていただくことになりました」

薪を使っているトルコのガラス玉をつくる窯。吹きガラスの窯のようにみえて実は玉しかつくってないといところにおどろいたそう。

――なんと運の良い!

島田さん「本当にね(笑)ありがたいです。
ここで、薪を使った工房に、初めてお邪魔することができたんです。バーナーとは全く違う作り方だったので、「これ、何の木使ってるんですか?」とか、たくさん質問しました」

――さらに気づいたことがあったそうですね

島田さん「エジプトの工房に行ったときは気づかなかったんですが、そういえば吹きガラスと同じ窯で玉を作っていたのを思い出したんですよ。その時に、あれっ、日本のバーナーで作るガラス玉とは作り方が全く違うと。もしかして、玉を作るのもガラス棒を巻きつけるのではなくて溶けたガラスから作り出すというルーツがあるのではないかと仮説を立てました。溶けたガラスで玉を作るという方法から吹きガラスへという変化について考えました。興味がガラス玉の方にも広がったんです。
すると、ちょうどレバノンから8ミリビデオが届いたんです。レバノンのガラス工房の様子を、友達が撮ってくれたんですね」

――発掘3年目、行ってみたけれど、真夏でお休み中だったという工房ですね。

島田さん「8ミリのビデオって、日本ではもうなかなか見られないじゃないですか。困惑していたら、友達が古い8ミリビデオを貸してくれて。でも、いざテレビに映してみようとしたら、機械にテープが巻き込まれてしまい。ビデオを解体してテープを取り出すなんていう失敗を経て、なんとかダビングしてくれるお店を見つけました。無事録画してもらったんですけど、気がついたら、見るのに1年もかかってたっていう(笑)。
でも、それに映っていたのがやっぱり玉で!レバノンの吹きガラス工房でも玉を作っていたんです。
今は、ガラス製作の環境や玉の作り方に興味がありますね」

レバノンの吹きガラス工房の様子

島田さんは、吹きガラスの前段階であるガラス玉の技法へと関心を広げました。そこから吹きガラスに至る技術のルートについて熱心に研究を進め、いくつかの可能性を導きだします。

溶けたガラスが炉の中でループ状に引き出されている様子

その中の一つ、温度が低めの溶けたガラスをループ状に引き出して棒に巻き付ける方法が、数あるガラス玉技法の中で吹きガラスにつながったのではという結論に至り、論文を発表しました。実験を通じて得たものが大きかったといいます。

フェニキア(地中海)の遺跡のガラス玉を復元したものを見せていただきました

(その4に続きます)

The following two tabs change content below.
金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


Scroll to top