国が配布した布製マスクに関する一考察(その4)

国が配布した布製マスクのチラシには、3つの種類があり、そのデザインや内容の違いからA-1類・A-2類・B類と分類しました。

私が立てた仮説は、A-1類→A-2類→B類の順で製作されたのではないかということです。

ここで、マスクに関わる政府の動きについて、図にまとめたものをご覧ください。

配布閣議決定から全戸配布おおむね完了までを年表風にあらわしています。

A-1類にしか掲載されていなかった“「一部の地域に」緊急事態宣言が出されました”という文言を思い出してください。この表で見ると、一部の地域に緊急事態宣言が出されていた期間は、4月7日から4月15日です。よって、A-1類のチラシは、全戸配布が閣議決定した4月7日以降で、かつ、緊急事態宣言が全国に拡大した4月16日よりも前に製作されたものであることが予想できるのではないでしょうか。
しかしながら、一番早くマスクの配布が始まったという東京都でも、報道によると、実際に配布が始まったのは緊急事態宣言が全国に拡大した日付の翌日からでした。製作から配布まで一定の期間が必要なことはもちろんですが、A-1類の文言、「一部の地域に」は、実は配布時にはもう意味をなさない言葉になってしまっていたのかもしれません。

また、A-1類、A-2類にあった、2世帯同居の方の問い合わせについての括弧書き「受付開始は5月中旬ごろから」という記載。これがB類では失われているということに注目しましょう。B類では、それをわざわざ書く必要がなくなった可能性が指摘できます。つまり、実際に受付が開始された5月中旬を超えて配布される予定、または5月中旬以降に製作されたチラシなのではないかという仮説が生まれます。表紙の本文から「緊急事態宣言が出されました」という文字が消えているのも合わせると、5月25日の全国緊急事態宣言解除を受けて、表紙のデザインがA類からB類へ変わった、と考えることもできるかもしれません。となると、5月の中旬、もっと言えば5月25日が、A類からB類に変わった画期である可能性があります。

一方、A-1類とB類に挟まれた時期だと考えられるA-2類は、上記の類推から4月16日から5月中旬、もしくは5月25日までにあたる時期に製作されたのではないかと思われます。A-2類の製作は、A-1類と比較した際の文言の変化から、緊急事態宣言が全国に拡大した4月16日よりも遡らず、かつ、緊急事態宣言解除後まで下ることはないと考えます。

以上のことを、先ほどの年表風の図に追加してみます。(デザイン製作開始から完了まで、一定の期間が必要であろうことは想像に難くないのですが、ここではその時間は加味していません。この矢印の間に製作されたのではないかと考えていただけるとありがたいです。また、別の類型が出てきたからといって、すぐに前類型の生産が廃止されたかどうかは今のところわかりません。)

これまで述べてきたように、私が集めた資料の中では、現状3種類のデザインがあり、様々な地域で同類型のものがそれぞれ散見されます。チラシを印刷した会社が複数社ある可能性を視野に入れるとしても、デザインは政府から全国に配布されたものだったのではないでしょうか。当然、チラシの製作時期と配布時期の間には、パッキング作業や配送の期間を挟みますので、ある程度のズレがあると思われます。
この3種類の中から全国にどのチラシデザインが配られたのか、それは一体どういう基準だったのか、モノからどこまで迫ることができるのか……。

明日からは、ご協力いただいた方々の資料を元に、その配布・分布状況と照らし合わせてみたいと思います。

(その5に続きます)

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

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