国が配布した布製マスクに関する一考察(その5)

昨日は、分類した3類型がどのような時期に製作されたのかを、政府の動きと照らして推測しました。

今日からは、ご協力いただいた方々の資料(27世帯分/2020年6月27日現在)を元に、その配布・分布状況を見ていきたいと思います。

まず、配布状況ですが、次の図をご覧ください。

(2020.06.27現在)

届いた場所と類型を、年表風にあらわしてみました。

これを見ると、配布されたチラシのデザインが、稀に飛び地はあるものの、大枠で捉えてA-1類→A-2類→B類の流れになっていることがわかるかと思います。この傾向が掴めたことは、チラシの文言・デザインの変化から推測した“製作時期はA-1類→A-2類→B類の順なのではないかという仮説”の蓋然性を高めるものと捉えてよいのではないでしょうか。

この図に、マスクに関わる政府の動きと、分類したマスクの予想される製作時期を追加してみます。

(2020.06.27現在)

資料数が少ない中で検証することをまずお断りさせてください。(追加資料、大募集中です!)

緊急事態宣言が一部地域に発出されてからそれが全国に広がり、そして解除となった日付と連動させて見ていくと、より興味深い傾向が見て取れます。それぞれの類型のデザインを製作したと思われる期間から、半月から1ヶ月ほど経過したのちに配布が始まっているように見えるのがわかるでしょうか。パッキングから配達まで、かかった作業期間が想像されます。

政治や社会情勢に対応してモノが変化していくということ、また、製作されてから流通するまでにかかる時間のタイムラグなどを、全戸配布されたマスクのチラシデザインから垣間見ることができたのは大きな収穫です。

A-1類・A-2類の例

細かい部分を見ていきましょう。
まずA-1類ですが、前半は東京都に集中しています。これは、まず東京都にマスク配布が開始されたという報道と一致します。その他の特定警戒道府県(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府・兵庫県・福岡県・北海道・茨城県・石川県・岐阜県・愛知県・京都府)に配布が開始されたのは5月11日の週からなので、5月13日に届いたという福岡県福岡市の例はかなり早いものであると言えそうです。
他の例を見ていくと、不審に思われる点が出てきました。昨日の分析で、A-1類の製作は、緊急事態宣言が「一部の地域(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県)」のみに出ていた時期に行われたと考えました。しかし、その「一部の地域」には、愛知県は含まれていません。であるのに、愛知県の一部ではA-1類のチラシが配られ、しかも配布時期が他のA-1が配布された時期とずれているのです。他の地域でA-2類の配布が始まっても並行してA-1類が配布されている地域、私の手元の資料では、愛知県名古屋市・愛知県春日井市がそれにあたります。愛知県は特定警戒道府県ではあるので、早い段階でチラシが配られていてもおかしくはないと考えます。ところが、同じ愛知県である新城市でB類が配布された後も、春日井市ではA-1類が配布されていました。チラシに掲載されている文言から考えると、愛知県にA-1類が配布されているのはイレギュラーなことのように感じられます(愛知県は「一部の地域」に含まれないからです)。A-2類、B類であれば納得できるのですが、これは一体何を反映しているのでしょうか。マスクのチラシから見た愛知県の動向には多くの疑問があり、この解釈には、愛知県を特殊とみなすか、私のマスクチラシ編年自体の見直しが必要かという2つの仮説が成り立ち、その検証が必要になってきます。これにはもっと多くの類例を集めたいところです。

総合して言えることは、2点あります。

まず、A-1類の配布が確認されたのは、当初緊急事態宣言が発出された「一部の地域」だけではなく、今のところ特定警戒道府県であるということです。(6/28、読者様からの資料提供により、沖縄県が追加され、特定警戒道府県だけではないということがわかりました。)

次に、配布は都道府県単位ではないということです。これは、A-1類とA-2類が混在している東京都、またA-2類とB類が混在している兵庫県・茨城県・大阪府の事例からも傍証できます。では市町村単位の配布なのかと疑問を持ち資料を集めていますと、神戸市灘区でA-2類、神戸市須磨区でB類(配布時期確認中)が存在するということがわかりました。同市内で別類型のものが配布されていたのです。しかしこれは政令指定都市の中での区単位の差であって、通常の市町村の場合は当てはまらない可能性もあります。奈良市では5件の事例が集まりましたが、配布時期に若干の差があるものの全てB類でした。これだけ見ると、チラシだけではその配布の単位が市町村であるのかどうかはわかりません(政令指定都市は区単位の可能性も出てきました)。もちろん、もっと小さい単位(例えば郵便集配局ごとなど)の場合も想定できるでしょう。それはチラシ以外の要素を含めて検討したいところです。

次に、A-2類の配布状況を見てみましょう。
A-2類は、ざっくり見ると5月中旬から6月頭にかけて配布されています。私の手元の資料でその時期と大きくズレがあるのは茨城県つくば市で、全戸配布がおおむね完了したと言われている6月中旬ギリギリの配布となっています。この時間差の意味するものが何なのかは、A-1類でありながら配布時期が後ろにずれ込んでいる名古屋市や春日井市の例と含めて、今後検討していきたい課題です。
もう1点、A-2類で注目されるのが、滋賀県大津市の例です。A-2類が配布された他の地域は全て特定警戒道府県でした。しかし、大津市だけがそれから外れている地域です。資料の少ない中で言及するのは心苦しいのですが、これは注目に値する事例かと思います。大津市に配布されている事実から、A-2類も特定警戒道府県だけに配布されたのではないことがわかるからです。

マスクの検討はこれからの未来を明るく生きるのに重要ですよね!!むふー!

……えっ?

みなさん、ついてこれてますでしょうか?


明日は、B類の配布状況と、手元の資料の分布域について触れてみたいと思います。

(その6に続きます。)

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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

2 Comments

  1. 藤波朋子
    2020-06-28

    すみません、途中で送られてしまったかもしれないので、同内容文です…

    沖縄宜野湾市在住です。
    私のところへは6/9にA-1のタイプのチラシ(紫の帯)で届きました。(届いた日に写真撮ってありました)
    配布が相当遅かったので、「一部の地域に」の文面など眺めて、もう解除されたし、、遅いよ…と思ったのを覚えてます。
    小中学生へは、学校再開にともなって、あるいは事前に1枚ずつ配布されており、
    (小学生は教科書配布時に同封、中学生(新入生)は入学初日)
    アベノマスクの到着があまりに遅かったので、子供たちに配られたのがアベノマスクじゃないの?と勘違いしていた保護者もいたくらいです。

    返信
    1. 金田あおい
      金田あおい
      2020-06-28

      ご連絡いただきありがとうございます。
      沖縄県の資料はまだ手元になく、大変貴重な情報です。
      6/9日でA-1タイプというのは遅いですね。
      資料に追加させていただきたいと思いますが、かまいませんでしょうか?

      返信

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