国が配布した布製マスクに関する一考察(その6)

昨日は、ご協力いただいた方々の資料を元に、A類の配布状況について分析しました。

今日は、B類について見ていこうと思います。昨日と同じ図をご覧ください。

 B類の例

B類は、A類と違い、はっきりと特定警戒道府県以外の地域が含まれていることがわかります。むしろA類が配布されなかった全地域が対象であるといえるかもしれません。
この中で意外なのが大阪市の2例です。大阪市は、特定警戒道府県であり、かつ府庁の所在地です。府内における大阪市内の感染者数も比較的多かった(https://covid19-osaka.info/)にもかかわらず、府内の他の地域(河内長野市・高槻市)に配布されたA-2類よりも新しく製作されたと考えられるB類が配布されています。緊急性の高い地域に優先してマスクを配布したのではないかと予想していたのですが、その考えは大阪市の事例によって否定されました。政令指定都市独自の動きが気になるところです。

次は、分布域について見てみます。

資料数の偏りが如実に反映されているので、この図を出すのもどうなのかと思いましたが、何か傾向がわかればと思い作ってみました。この図を充実させるために、さらなる情報をお待ちしています!(東北・北海道は、資料を集められなかったのでトリミングしています。申し訳ありません。)

先行型のA-1類は、東京・愛知・福岡・沖縄に見られます。
A-2類は東京西東京市・そして茨城県つくば市。また、関西では兵庫県神戸市・西宮市、大阪府河内長野市・高槻市、滋賀県大津市に分布しています。
B類は、A類と比べるとわりと大都市圏から離れたところに配布されているように見受けられます。先ほど指摘しましたが、B類の中では大阪市だけが異様に感じられます。

資料数が少ないため、定性的であることを承知の上で、分布域から見た傾向をまとめると、
A-1類は特定警戒地域を中心に配布されている(6/28、読者様からの情報提供により沖縄県が追加されたことで混沌を極めています)。
・A-2類は特定警戒地域が中心だけれども、特定警戒地域に近い地域も含まれる。
・B類はA類が配布されなかったその他の地域に対して配布されている。
ということがいえるでしょうか。

ここまでおこなってきた分析をまとめてみると、マスクのチラシデザインは、
・まず一部の地域(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県)の緊急事態宣言に対応したものを作ろうとした(A-1類)。

・次に、緊急事態宣言が全国に拡大した状況に対応したものを作ろうとした(A-2類)。

・ところが、何らかの理由
(例えばマスクの調達に遅れが生じたなど?)があって、この段階で全ての配布を完了することができなかった。

・その間に状況が急速に進み、緊急事態宣言が解除されるに至った。

・この結果、新たな局面に対応したチラシを製作する必要が生じた(B類)。

・しかし、一部の地域では前類型の配布も引き続き行われていた
(これが何を意味するのかはまた改めて考察してみたいと思います)。
という流れが想定できるのではないでしょうか。

分類をした時、「なぜ各類型ごとに表紙下部の帯の色を変えたのか?」という疑問を持ちました。それについて少し考えてみたのですが、帯の色が違うということは、上記で述べた進度がパッと見てわかるわけなので、もしかすると、政府が自治体または郵便局の集配単位などに対して配布するデザインの指示を間違えないよう、帯の色を目印にしていた可能性もあるのではないかと考えるに至りました。どの段階のデザインなのかが一目でわかることは、ありがたいことに分析のしやすさにも繋がりました。

以上、チラシのデザインを比較することで見えてきたマスクの配布状況・分布域・その背景について考察しました。資料をお寄せくださったみなさま、本当に本当にありがとうございました!今後も資料を収集していきたいと思いますので、お手元にマスクをお持ちの方は、ぜひマスクチラシの金田編年3類型(A-1類・A-2類・B類)のどれだったかと、届いた時期、所在地を教えてください。

いや〜全戸配布されたマスクから見えてくるもの、本当に面白いですね!

明日からは、手元に持っている現物3パックをもとに、パッケージやマスクそのものについて比較してみたいと思います。

(その7に続きます。)


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金田あおい

金田あおい

代表・デザイナー時代意匠考案 藍寧舎
大学・大学院で考古学を学んだのち、考古学や歴史学が持つ肯定的な側面に焦点を当てたデザインをしたいと専門学校へ。現在は、デザイン製作・ワークショップ・トークイベントなどをおこなう、時代意匠考案 藍寧舎(らんねいしゃ)として活動しています。

4 Comments

  1. 吉永
    2020-07-01

    ご無沙汰しております、吉永です。興味深く拝見いたしました。
    神奈川県横浜市内の自宅には、6/2にB類が配布されました。
    鹿児島県姶良市と全く同タイプでビニール袋はシール式です。
    横浜市のサンプルをもっと集められるでしょうか?
    おそらく大阪市と並んで人口が多い横浜市のデータを追加すれば、
    大阪市だけが突出した傾向ではなく、
    特定警戒地域にもかかわらず配布時期が遅くB類が配布されている地域が
    同時期に関東にもあったということを示せるかと思いました。
    今後の分析も楽しみにしております。

    返信
    1. 金田あおい
      金田あおい
      2020-07-01

      吉永さま、お久しぶりです!コメントいただきありがとうございます。
      横浜市の事例、とても興味深いです。B類だったのですね。ぜひサンプルを増やしていきたいと思っておりますが、身近で横浜在住の方もおらず、聞くことができません。
      もし可能でしたら、ご協力いただけますと幸いです。
      横浜市がB類で6月に入ってからの配布となれば、確かに大阪市が突出した例ではないということになってきますね。
      面白いです!
      資料に追加させていただきます。ありがとうございます。

      返信
  2. 吉永
    2020-07-01

    御返信ありがとうございます。
    そういえば、横浜市内に住む後輩がTwitterにあげてたなと思い出しました。
    下記のリンク、見れますでしょうか?写真は日付入りで配布日は6/6のようです。
    https://twitter.com/tws_hedgehog/status/1269236238633988101
    これもB類ですよね?

    返信
    1. 金田あおい
      金田あおい
      2020-07-01

      リンクありがとうございます。こちら、B類ですね。横浜市内ということで、資料に追加させていただきます。ありがとうございます。

      返信

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